「複数の男性と同時にやり取りするなんて、不誠実じゃないだろうか」。結婚相談所やマッチングアプリで活動を始めた方が、最初にぶつかる罪悪感です。誰かとお見合いをしながら別の人ともやり取りをする。それが申し訳なくて、早々に一人に絞ってしまう——実は、この優しさが婚活を長引かせています。結婚相談所の仕組みでは、プレ交際の段階で複数の方と同時に会うことが前提とされており、実際に成婚した人は平均して4〜6人と交際しています。この記事では、同時進行が不誠実ではない理由を仕組みと心理の両面から解きほぐし、罪悪感を手放して活動するための考え方をお伝えします。
同時進行は、不誠実ではありません
最初に、はっきりお伝えします。結婚相談所での同時進行は、ルール違反でも、相手への裏切りでもありません。お互いをじっくり知ってから決めるために用意された、正式な仕組みです。
それでも罪悪感を覚えるのは、あなたが誠実な人だからです。この罪悪感を放置すると、活動量が落ちるだけでなく、一人ひとりとの出会いを純粋に楽しめなくなっていきます。ただ、その誠実さの向け先が、少しずれているかもしれません。順に見ていきましょう。
仕組みで見る:プレ交際は「複数が前提」です
IBJ(日本結婚相談所連盟)の結婚相談所では、活動は「お相手探し→お見合い→プレ交際→真剣交際→成婚」という段階で進みます。ここで大事なのは、プレ交際の段階では一人に絞る必要はなく、複数人との同時進行が可能であると、仕組みとして明記されていることです。

成婚した人は、4〜6人と交際している
IBJの成婚白書によると、成婚した人は全年代で10〜14回のお見合いを行い、そのうち4〜6人とプレ交際に進んでいます。つまり、最終的に幸せな結婚をした人たちは、例外なくこの「複数と会って決める」過程を通っています。
一方で、真剣交際に入ったら一人に絞る。ここからは同時進行はできません。「決める前は広く知り、決めたら一人に誠実に」——この切り替えこそが、相談所の設計思想です。相手の方も同じルールで活動しています。あなただけが抜け駆けしているわけではないのです。
「1人に絞るほうが誠実」は、本当でしょうか
それでも心に残る引っかかりに、正面からお答えします。私は以前、まさに「複数の男性と会うのは不誠実ですか」というご質問に、こうお答えしました。
「たった1人としか会っていない中で選ばれるより、何人かの中から『あなたがいちばん』と選ばれたほうが、男性も嬉しいですよね」
考えてみてください。よく知らないまま消去法で選ばれることと、比較したうえで「やっぱりあなた」と選ばれること。誠実なのは、むしろ後者ではないでしょうか。相手にとっても、自分がどう選ばれたかは一生残る事実です。
「不誠実だ」と言う声の正体
周りに「同時進行なんて不誠実」と言う人がいたとしても、気にしすぎる必要はありません。そう言う人の多くは、「自分だけを見てほしい」「私以外の人と会ってほしくない」という気持ちから、そう考えているだけだからです。それは誠実さの話ではなく、「私はあなたしか見ないから、あなたも私以外を見ないで」というエゴの押しつけになっていることがあります。
自分に許可できると、相手にも許可できる
そして、ここがいちばん大事なところです。お付き合いの前にいろんな方と会うことを自分に許可できるようになると、相手が同じようにしていることも許せるようになります。人は、自分に許可できることしか、相手に許可できないのです。
同時進行に罪悪感を持ったまま活動すると、相手がアプリにログインしていた、他の方ともお見合いしているらしい——そんな気配のひとつひとつに動揺することになります。逆に、自分の自由を大切にできる人は、相手の自由も大切にできます。すると婚活そのものが軽やかになり、その軽やかさが、あなたをいっそう魅力的に見せるのです。

罪悪感の裏にある、もうひとつの心理
同時進行への罪悪感を深掘りしていくと、もうひとつの心理が見つかることがあります。それは、「比較して選ぶ」という行為そのものへの怖さです。
複数の方と会うということは、最終的に自分が「選ぶ」ということです。誰かを選べば、誰かをお断りすることになる。その責任を引き受けるのが怖くて、「同時進行は不誠実だから」という理由で、最初の一人に流れ込んでしまう。心当たりはないでしょうか。
ですが、「選ばれる」婚活から「自分で選ぶ」婚活への転換は、幸せな結婚の土台です。選ぶ痛みを引き受けた人だけが、「自分で選んだ」という納得を手に入れます。その納得が、結婚後に訪れる迷いの日々を支えてくれるのです。
罪悪感が出てきたときの、考え方の整理
頭でわかっても、罪悪感は顔を出します。12年間で1万人以上のご相談を受けてきて、この感情との付き合い方として効果があったのは、次の整理です。
誠実さは「過程」ではなく「決めた後」で発揮するもの
あなたの誠実さは、比較しないことで示すものではありません。真剣交際に入ってから、目の前の一人に注ぎ込むものです。プレ交際の段階で1人に絞ることは、誠実なのではなく、判断材料が足りないまま決めようとしているだけかもしれません。「この人でいいのか」という迷いの多くは、比較のないまま決めたことから生まれています。
全員に、同じだけ丁寧に
同時進行の罪悪感を減らす実務的なコツは、シンプルです。お会いしているすべての方に、同じだけ丁寧に接すること。連絡の返事を極端に変えない、会う約束を軽んじない。「比較していること」ではなく「雑に扱うこと」が不誠実なのです。ここを守っている限り、あなたは誠実に活動しています。
お断りするときは、早く・簡潔に
同時進行の出口には、必ずお断りが伴います。ここで長文の謝罪や理由の説明をしたくなりますが、相談所では仲人を通じて簡潔にお伝えするのが、お互いにいちばん負担の少ない形です。引き延ばすことのほうが、よほど相手の時間を奪います。早く、簡潔に、感謝とともに。これがお断りの誠実さです。
期限を決めておく
同時進行は、ずっと続けるものではありません。だらだらと比較を続けると、今度は決められなくなります。成婚した人は交際およそ150日で6割以上が成婚退会しているというデータもあります。「プレ交際は◯ヶ月まで」と自分の中で期限を決めておくと、比較が「決めるための比較」になります。
よくある質問
Q1. 結婚相談所で複数の人と同時にお見合い・交際するのは違反ですか?
違反ではありません。IBJの結婚相談所では、プレ交際の段階で複数の方と同時に会うことが仕組みとして前提になっています。成婚した人は平均して4〜6人と交際しています。ただし真剣交際に入ったら一人に絞るルールです。
Q2. 同時進行していることを、お相手に伝えるべきですか?
自分から報告する必要はありません。相手の方も同じ仕組みの中で活動しており、プレ交際が複数前提であることはお互いの共通理解です。聞かれた場合は「何人かの方とお会いしています」と正直に答えて問題ありません。それで嫌われることは、まずありません。
Q3. 罪悪感があって、つい1人に絞ってしまいます。
その誠実さは素敵ですが、向け先を変えてみてください。誠実さは比較しないことではなく、真剣交際に入ってから一人に注ぐものです。1人としか会わずに選ぶより、何人かの中から「あなたがいちばん」と選ぶほうが、選ばれた相手にとっても嬉しい事実になります。
Q4. 相手が他の人とも会っていると知ると、落ち込みます。
自分に同時進行を許可できると、相手のそれも受け入れられるようになります。人は自分に許可できることしか相手に許可できません。相手の活動に一喜一憂しなくなると婚活は軽やかになり、その軽やかさ自体があなたの魅力になります。
Q5. 何人くらいと同時進行するのが適切ですか?
成婚者のデータでは、プレ交際に進んだ人数は4〜6人(活動全体を通して)です。同時には2〜3人程度が、一人ひとりに丁寧に向き合える現実的な範囲でしょう。全員に同じだけ丁寧に接することができる人数が、あなたの適正数です。
まとめ:決める前は広く、決めたら深く
同時進行は不誠実ではなく、じっくり選んで深く添い遂げるための仕組みです。成婚した人は4〜6人との交際を経て、「やっぱりあなた」と一人を選んでいます。
誠実さを発揮する場所は、過程ではなく、決めた後。プレ交際では全員に同じだけ丁寧に、真剣交際からは一人に深く。この切り替えができれば、罪悪感なく、軽やかに活動できます。
いいと思える人が何人もいるのは、とても素敵なことです。たくさんの方と会って、あなたにぴったりの一人を選んでください。
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