「一人の生活に不満はない。むしろ楽しい。それなのに、結婚したいと思う自分もいる」。この状態を、矛盾していると感じて立ち止まってしまう方がいらっしゃいます。周りからは「そんなに充実しているなら、結婚しなくてもいいんじゃない」と言われ、自分でも本心がわからなくなる。実際、国の調査では「一人の生活を続けても寂しくない」と答えた未婚女性は50.7%と過半数を超え、それでも84.3%が「いずれ結婚するつもり」と答えています。この2つは、少しも矛盾しません。この記事では、「寂しくないのに結婚したい」という気持ちの正体を、孤独感と寂しさの違いから解きほぐしていきます。
「一人でも平気」なのに結婚を考えるのは、矛盾ではありません
先にお伝えしておきます。一人の生活が充実していることと、結婚したいと思うことは、まったく別の話です。両立していて当然ですし、むしろその状態から始める結婚のほうが、うまくいく可能性は高いと私は考えています。
「寂しくないなら結婚しなくていいはずだ」という考え方は、結婚を「寂しさを埋める手段」と見なしています。けれど、そうではない結婚の形もあります。なお、この迷いは周りが結婚していくことへの焦りとも、また別のものです。まずは、いま何が起きているのかをデータで確認してみましょう。
データで見る、いまの未婚女性の生活
国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した「第16回出生動向基本調査」は、18〜34歳の未婚者を対象にした国の調査です。ここに、はっきりとした変化が表れています。

「一人でも寂しくない」が、初めて半数を超えた
「一人の生活を続けても寂しくないと思う」と答えた未婚女性は、前回調査の36.2%から50.7%へと大きく増えました。伸び率は男性より女性のほうが高く、初めて過半数を超えています。
あわせて、「生きがいとなるような趣味やライフワークを持っている」と答えた女性も63.7%と最多で、前回から6ポイントほど増加しました。独身生活の利点としては「行動や生き方が自由」を挙げる女性が78.7%にのぼります。
一方で、「気軽に一緒に遊べる友人が多い」は60.4%から50.3%へと減っています。人づきあいの広さではなく、一人の時間の充実によって満たされている——そんな輪郭が見えてきます。
それでも、8割以上が「いずれ結婚するつもり」
ここが大事なところです。同じ調査で「いずれ結婚するつもり」と答えた未婚女性は84.3%。前回の89.3%からは下がったものの、依然として8割を超えています。30〜34歳に限っても77.5%です。
一人で寂しくない人が半数を超え、それでも8割以上が結婚を考えている。この2つの数字が同時に成り立っているということは、多くの女性にとって結婚が「寂しさの解決策」ではなくなった、ということです。
「寂しいから結婚したい」でなくなったのは、いい状態です
私はこれを、後退ではなく前進だと受け取っています。
「一人が寂しいから」を動機にした結婚は、実はとても難しい道です。寂しさが原動力になっていると、相手を選ぶ基準が「私を寂しくさせない人かどうか」になります。連絡がまめか、すぐ会えるか、いつも私を優先してくれるか。条件そのものは間違っていなくても、判断の軸が自分の不安に置かれているため、相手の人柄を見る余裕がなくなってしまいます。
そして結婚したあと、相手が期待どおりに寂しさを埋めてくれないと、「こんなはずじゃなかった」が始まります。埋めるために選んだ相手は、埋めきれなかったときに責める対象になってしまうのです。
いま一人の時間を楽しめているのなら、その落とし穴を最初から避けられます。あなたはすでに、いい場所に立っています。
孤独感と、寂しさは違うものです
ここで、私がずっと大切にしてきた区別をお伝えします。孤独感と寂しさは、別のものです。
孤独感は、消すものではありません
孤独感というのは、あなたが一人の独立した人間として存在している以上、必ずあるものです。パートナーがいてもいなくても、友人が多くても少なくても、なくなりません。私自身、長いあいだこのテーマと向き合ってきました。
けれど多くの方は、孤独感を「あってはいけないもの」として扱います。だから、感じないように恋愛をし、感じないように友達をつくり、感じないように仕事に打ち込み、感じないように趣味に没頭する。孤独感がないのではなく、見ないようにしているだけ、という状態です。
埋めようとしたときに、寂しさが生まれます
寂しさが生まれるのは、この「埋めよう」としたときです。
自分の中にある孤独を認めずに、誰かにわかってもらうことで解消しようとする。けれど、他人が自分を100%理解してくれることはありません。だから「わかってもらえなくて寂しい」「愛してもらえなくて寂しい」という状態になります。寂しさをつくり出しているのは相手ではなく、孤独を誰かに埋めてもらおうとする構えのほうなのです。
これまで400名以上の卒業生と関わってきましたが、パートナーができても寂しさが消えなかったという方は少なくありません。逆に、自分で自分をわかってあげられるようになると、他者に理解を求める必要がなくなり、結果として寂しさが薄れていきます。
趣味も仕事も、「埋めるため」に使っていないか
ここで、少し厳しい問いを置かせてください。
いまの充実は、心から楽しんでいるものでしょうか。それとも、立ち止まると何かを感じてしまうから、予定を埋めているのでしょうか。
この2つは、外から見ると区別がつきません。本人にもわかりにくい。ただ、見分ける手がかりはあります。予定が急にキャンセルになったとき、ほっとするか、落ち着かなくなるか。何もない時間が怖いと感じるなら、その充実は埋めるために使われているのかもしれません。

誤解しないでいただきたいのですが、趣味も仕事も、それ自体は素晴らしいものです。問題は使い方だけ。埋めるためではなく、味わうために使えているなら、何も変える必要はありません。
「結婚したいのかわからない」ときの、3つの問い
気持ちが定まらないときは、答えを出そうとする前に、問いを変えてみてください。

1. 一人の時間を、味わっているか・埋めているか
前の章の問いです。予定のない休日が心地よいなら、あなたの充実は本物です。その状態は、結婚しても損なわれません。
2. 「これを誰かと分かち合いたい」と感じる場面はあるか
おいしいものを食べたとき、きれいな景色を見たとき、仕事でうまくいったとき。ふと「これを話したい人がいたらいいのに」と思う瞬間があるなら、それがあなたの結婚したい気持ちの正体です。寂しさを埋めたいのではなく、喜びを分かち合いたい。これは、まったく別の動機です。
3. 結婚しない人生を想像したとき、何を感じるか
「このまま一人でも大丈夫」と感じるなら、それも一つの答えです。無理に婚活を始める必要はありません。けれど、想像したときに何かが引っかかるなら、その引っかかりを言葉にしてみてください。言葉にできたものだけが、選べるようになります。
仕事との両立に迷いがある方は、「仕事を続けたい」は婚活で不利?|両立志向が初めて最多になったデータもあわせてお読みください。
なお、「結婚したら自由がなくなりそう」という感覚が迷いの中心にある場合は、結婚と自由の関係をデータで見た記事もあわせてお読みください。
よくある質問
Q1. 一人でも寂しくないのに婚活を始めるのは、動機が弱いでしょうか?
むしろ良い状態です。寂しさを動機にした婚活では、相手を選ぶ基準が「私を寂しくさせない人か」になり、人柄を見る余裕がなくなります。一人の時間を楽しめている方は、その落とし穴を最初から避けられます。第16回出生動向基本調査でも、「一人の生活を続けても寂しくない」と答えた未婚女性が50.7%と過半数を超える一方、84.3%が「いずれ結婚するつもり」と答えており、この2つは両立しています。
Q2. 結婚したい気持ちがはっきりしないまま、活動を始めてもいいですか?
構いません。気持ちは、動いてみて初めてはっきりすることが多いものです。ただし「周りが勧めるから」だけで始めると、途中で苦しくなります。「誰かと分かち合いたい場面があるか」を一度確認してから始めると、迷ったときの戻る場所ができます。
Q3. 孤独感と寂しさは、どう違うのですか?
孤独感は、一人の独立した人間として存在している以上、誰にでも必ずあるものです。消す必要はありません。一方の寂しさは、その孤独感を誰かに埋めてもらおうとしたときに生まれます。他人が自分を100%理解することはないため、「わかってもらえない」という形で表れます。
Q4. 趣味が充実していると、結婚に向いていないのでしょうか?
そんなことはありません。同調査では「生きがいとなるような趣味やライフワークを持っている」未婚女性が63.7%と最多でした。大切なのは、その趣味を味わうために使っているか、何かを感じないために埋めているかの違いだけです。予定がなくなったときにほっとするなら、前者です。
Q5. 「結婚しなくてもいいんじゃない」と言われると、揺れてしまいます。
その言葉は、結婚を「困っている人がするもの」という前提で発せられています。あなたが困っていないから、必要ないだろうと見えているだけです。判断の基準は他人の目ではなく、あなたが何を分かち合いたいかに置いてください。
まとめ:埋めるための結婚から、分かち合うための結婚へ
「一人でも寂しくない」と「結婚したい」は、矛盾しません。データがそれを示しています。一人の生活を続けても寂しくないと答えた未婚女性は50.7%と過半数を超え、それでも84.3%が「いずれ結婚するつもり」と答えています。
寂しさを埋めるための結婚は、埋まらなかったときに相手を責める結婚になります。けれど、喜びを分かち合うための結婚は、相手に何かを求めるところから始まりません。いまあなたが一人の時間を楽しめているなら、それは遠回りではなく、いい出発点に立っているということです。
孤独感は、消さなくて構いません。消そうとしたときに、寂しさが生まれるのですから。
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